神の御前では皆等しく愛されている

11. 看護学校の思い出

 看護学校1年のある日、抜き打ち試験があった。

 素早く全問に目を通すと、最後に「学校の掃除のおばさんの名前を書け」という問いがあった。冗談にちがいないと思った。学校の掃除のおばさんは何度も見ている。背が高く、黒い髪で、年は50歳ぐらいか…。だが、彼女の名前などどうして知っていよう? 私は、最後の問いの答えを空欄にしたまま答案用紙を出した。

 授業が終る前、だれかが先生に質問した。最後の問題は点数のうちに入るのですか、と。

 「もちろんだとも!」と先生は言った。「君たちは、これからの看護師人生でたくさんの人たちと出合う。みんな、君たちが気にかけて差しあげるに値する、大切な人たちなのだ。たとえ、『あら、どうも!』とにっこり声をかけるだけだとしてもね」。

 私はあの授業を忘れない。掃除のおばさんの名前がドーラだということも学んだ。

 …で、あなたは、下働きをしてもらっている人たちの名前をちゃんと言えますか。

【聖書から】

 これらの小さな者を一人でも軽んじないように気をつけなさい。言っておくが、彼らの天使たちは天でいつもわたしの天の父の御顔を仰いでいるのである。(マタイ18:10)

 そこで、王は答える。「はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである」。(マタイ25:40)