神父様からのメッセージ

皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい

 『「皇帝に税金を納めるのは、律法に適っているでしょうか、適っていないでしょうか。納めるべきでしょうか、納めてはならないのでしょうか。」イエスは、彼らの下心を見抜いて言われた。「なぜ、わたしを試そうとするのか。デナリオン銀貨を持って来て見せなさい。」彼らがそれを持って来ると、イエスは、「これは、だれの肖像と銘か」と言われた。彼らが、「皇帝のものです」と言うと、イエスは言われた。「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい。」』(マルコ12章14-17)

 ローマ皇帝に納める人頭税は、ユダヤ人の反感を招き、さらには神のみへの忠実を損なう宗教的問題とさえみなされていました。しかし、実力者達が税金問題を持ち出したとき、イエスはこういう内容の答えをされました。あなた方自身がローマ帝国の流通組織からその恩恵をこうむっているのに、税金問題になると国粋主義や宗教的熱心を持ち出すのですが、「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい。」と。

 ところで、彼らが持っていた通貨を見て、この答えをされたということに注目したいと思います。

 実は、その通貨を見せてもらう必要があったあったでしょうか。イエスもその通貨を使っておられたはずではないでしょうか。それを持ってこさせたのは何故でしょう。その通貨に刻まれている肖像と銘に対して、彼らの注意を引き寄せるためだと思います。そして皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさいとおっしゃいます。その通貨に刻まれている肖像と銘が所有者を示すので、皇帝のものです。しかし人間の心に神の肖像と銘が刻まれているので、心は神が所有するものです。したがって、心が神に返すべきものだとおっしゃるのです。