神父様からのメッセージ

キリストの内に根を下ろすこと

 「教えられたとおり、キリストの内に根を下ろし、自分を築き上げ、信仰を固めなさい」と。(コロサイの信徒への手紙2,7)

 要するに、キリスト者としての自分を築き上げるためには、キリストの内に深く根をおろして信仰を固めていかなければならないということです。

 ところで「キリストの内に根を下ろす」ことの意味は何でしょう。イエスはその意味の理解の糸口を教えて下さいました。

 「私に向かって、“主よ、主よ”と呼びながら、なぜ私の言うことを行なわないのか。私のもとに来て、私の言葉を聞き、それを行なう人が皆、どんな人に似ているかを示そう。それは、地面を深く掘り下げ、岩の上に土台を置いて家を建てた人に似ている。洪水になって川の水がその家に押し寄せたが、しっかり建ててあったので、揺り動かすことができなかった。しかし、聞いても行なわない者は、土台無しで地面に家を建てた人に似ている。川の水が押し寄せると、家はたちまち倒れ、その壊れ方がひどかった」と。(ルカ福音書6,46-49)

 信仰と生活の一致は、岩(キリスト)の上に土台を置いた家に例えられています。どんなに厳しい状況にあっても、その信仰が揺れることはありません。一方、信仰と生活が分離しているなら、その信仰は常に危険にさらされています。長持ちはしない信仰です。試練や人生の思い煩いや富の誘惑、そのほかのいろいろの困難に耐えられないものです。キリストのうちに根をおろしていない信仰、キリストの言葉を聴いてはいるが、生活のなかでそれを守る努力をしない人の信仰は、常にそれを失う危険性をはらんでいます。

 教会へ通い、洗礼を受けてからも、長く通ってきていたのに、なぜその人は来なくなったのでしょう。直接の原因は色々あるでしょうが、突き詰めて考えるとやはり、「キリストの内に根を下ろして」いなかったというところに、本当の原因があったのではないでしょうか。私は彼らの救霊に関して心配しております。生活の中で、御言葉を守って、キリストの内に根を下ろしたならば、イエスから離れることがなかったでしょう。生活の中で、その御言葉を守ることによって、私たちはキリストにますます強く結ばれていき、どんな力もその絆を解くことが出来ません。