神父様からのメッセージ

人格の尊厳

 人格の尊厳は、神にかたどり、その似姿として創られたことに根ざしており、神の至福に与るように召されることによって実現されます。人間は理性と自由意志を備えており、受胎の時からすでに神に方向付けられ、永遠の至福へと呼ばれています。

 人間の幸福への願望は神に由来するものです。その願望を満たすことができる唯一の方である神が、人間をご自分の方へ引き寄せるために、その願望を人間の心に植えつけられたものです。

 事実、神がご自分の至福に与るように、人間を招いておられます。この招きは、一人一人の人間に個人的になされています。神様は人間の一人一人から自由な答えを待っておられます。

 まことの幸福は、富や安楽にも、人間的栄光や権力にもなく、神の内にのみあるものです。神以外はすべてははかないもので、人間は裸でこの世に生まれ、また裸になってこの世を去っていきます。

 神は、人間を自由意志を持った理性的な存在として創造し、自主性と、自分の行為の支配力とを備えた人格の尊厳を付与されました。理性によって善悪を識別して、自由意志で持って、それを行うか行わないか、これをするかあれをするかを決定します。自由意志による行為に関しては、当然、人間は責任を負うことになります。

 人間の自由意志が神様と完全に結ばれていない間は、倫理的な善と悪のいづれかを選択する可能性、つまりより完全なものに成長するか、あるいは挫折して罪を犯すか、という両方の可能性が残されています。善を行えば行うほど自由になり、この世に生を受けた目的、すなわち神の至福に与る目的の達成に近づきます。一方、悪を行えば行うほど、ますます神様から遠ざかり、自らを欺き、神の愛の計画を拒否して、自滅的な選択となります。

 これ以上大きな不幸はないと思います。