修道院の窓から

聖堂は出会いの場

金沢聖霊修道院の聖堂でのお話を少し紹介します。

 クリスマス間近のある日、一人の坊やとお母さんが聖堂に入ってきました。坊やは祭壇近くまでスタスタと近づき、真剣な顔できちんと手を合わせ柏手を打ち、大きな声で「神さま、クリスマスプレゼントを下さい!」と祈りました。

 聖堂で働いていたシスター「イエス様は目に見えるものはくださらないの、それはお父さん、お母さんからいただくものですよ。」

 坊や「それじゃ、神様は何をくださるの?」

 シスター「人を大切にする心、やさしい心を下さるのよ。」

 すると坊やは祭壇に向き直って「神様、ぼくにやさしい心を下さい。」と大きな声で祈りました。

 「年はいくつ?」と聞くと「8 つです。」小学校 3 年生の子供です。

 お祈りをすませてお母さんと帰っていかれました。子供らしい明るい感じで、イエス様のことを知っているのかもしれないと思いました。この子や子供たちの健やかな成長を祈りました。


 ある日、落ち着いた感じの立派な紳士が聖堂に入ってこられました。祈りの雰囲気を感じて見守っていると「聖堂は昔のままですか?」と話しかけてきました。そこで「そうです。昭和 6 年の創建当時と何も変わっておりません。どうしてご存じなのですか?」とたずねると「今は東京に住んでいますが、子供の時にこの病院で手術をしてもらいました。その時、訪問したことがありましたので、もう一回見たかったのです。」と名刺を差し出され、拝見すると有名な大学の教授でした。昔を知っていたシスターだったので細かいことにも答えることができたということでした。クリスマスにはお手紙をいただき、お互いに心に残る出会いとなりました。


 クリスマスの飾りつけをしていると、聖堂に中年のご婦人が入ってこられました。ツリーを眺め、「これがドイツ的な飾り方ですか。いつか説明していただいたとき、クリスマスにはぜひ見せていただきたいと思い飛び込んできました。」ということでした。

 実はこの方は“まいどさん”(観光案内ボランティア)で、「これから大阪からのお客様が来られるので案内したいと思います。」と言って帰られました。

 金沢市のまいどさん方は、シスター顔負けの案内で色々な方がたに聖堂の説明をして宣教の一翼を担って下さっています。この間は60人のグループの案内だったとか…。

2011 年 1 月