修道院の窓から

謎の花かご

ある日、一人の姉妹、Sr. M が聖堂の外―そこは香部屋になっていて、石段があり、ドアがあって外部への出入り可能なところに美しい花かごが置いてあるのを発見しましたが、聖堂の外であるし、どんな意図で置かれたものかもわからないから・・・とそのままにして通り過ぎたそうです。

昼の休憩のときに再度 Sr. M が通りかかると、その花かごはそのままに置かれていて、今度は日光が照りつける状態になっていたそうで、心やさしい姉妹は「このままでは美しい花が枯れてしまう・・・」と修道院に運び、他の姉妹にどうしたものか?と相談をしました。

花かごにはハート型の赤いプレートに「ありがとう」のことばがあったので、おそらく神様への感謝のために持ち込まれたものに違いないが、聖堂の玄関がわからずに、裏口においたのではないかと結論して、マリア様の祭壇に飾ったそうです。

夕食のときに、この花かごが話題になりました。

Sr. S「私は、ひょっとして今日退院する方かな?と思い、部屋に挨拶に行った時に聞いてみたけど、ちがったわ・・・」

Sr. P「でもね、あれは造花なのよ、よくみると葉が不自然だった。」の発言に「えっ〜!信じられない、あんまり美しいので早速写真を撮ったのよ。」という姉妹もありました。

「枯れてしまう」と心配した姉妹は実際に花に触れてみたのに、造花であることに気付かなかったそうです。

造花であると正確に見定めたのは、華道の先生である Sr. Y で、さすが!でした。

生花だけが贈り物にふさわしいと言い切れない今日なのでしょう。誰かが、ある価値観でものを創り上げ、誰かが気に入って贈り物にする・・・この花かごを持ってきた方の気持ちは正確にはわかり兼ねますが、エイプリル・フールのような“いたずら”と片付けたくもないし、数日聖堂に飾られることでしょう。

2014 年 5 月