修道院の窓から

時を越えて働いて下さる聖霊

聖霊降臨前のことでした。その日、私は出勤しない日なので午後からはあるご招待に出かける予定で過ごしていましたが、朝から珍しく体調不良で昼食後にはいよいよ悪化した様子なので、出かけるべきではないと判断しました。そして修道院内でデスクワークをしていたら電話がありました。

「突然ですが娘の赤ちゃんが亡くなりまして、このまま火葬に出すのはかわいそうで、お祈りをして送ってあげたいのです。カトリック信者ではないが36年前、娘の出産のときに、シスターにお世話になった。お産間際に聖堂から朝のアンジェラスの鐘が響いたのを説明してもらった。」とのことでした。36年前といえば、私が初誓願後に最初に派遣された場所だったので、名前を名乗ると声の調子が変って「親切にしていただいたんですよ」と、距離が縮まった感じでした。

そこで、詳細を伺うと、36歳の娘の最初のお産で予定日が近かったのに、急に動かなくなり、今日、死産になったこと、K病院では家族が望むように処理をしてよいといわれていることが分かりました。

たまたま自分に関りがある分野なのでお勧めできる葬儀屋さんに連絡するように紹介をし、修道院の聖堂なので神父様がいないこと、どの程度のお別れ儀式をご希望なのかを確認し、赤ちゃんを送る祭儀を作成しました。チプリアーノ神父様も快くご都合をつけてくださいました。

娘さんとアメリカ人のご主人、娘さんのご両親が、早い時間に到着されました。葬儀屋さんもよく心得ているので小さいが立派な柩を準備してくださっており、納められた赤ちゃんはしゃくやくで囲んでありました。ご家族の大好きな花だそうで、聖堂内には折よく信者さんから頂戴したしゃくやくがたくさん飾ってあったのでそれも嬉しかったとのこと。天使さながらの赤ちゃんとゆっくりお別れをなさり、共同体の姉妹たちの祈りと聖歌にわせて斎場に赴かれましたが、感謝をのべてくださいました。

36 年といえばかなり長い時間と思えましたが、神様には一瞬のこと。私たちの日々の小さなできごと、人々との出会いなど意味のないものはないのだ。この鈍い私に、このような機会を準備して神様の霊が信者でない方の中にも働きかけて、偶然とはいえない再会をさせてくださった・・・、人間の時間を超越して働いて下さる神様は、思いがけないところに働いて下さることをもっと確信をもつことができると励まされました。

私たちの共同創立者、マザーヨゼファのことば「“聖霊来て下さい”は私たちの呼吸にならなければなりません。」を新しく味わっています。

2016 年 1 月